​小泉悟 / Satoru KOIZUMI

この度メグミオギタギャラリーでは、小泉悟絵画展 “Spectral” を開催致します。小泉は2009年に沖縄県立芸術大学大学院の彫刻専修を修了し、現在は沖縄を制作の拠点としています。彼は獰猛なものから脆弱なものまで、自然の中で特性を活かして生きる様々な動物と、社会の中で生きる人間の姿を調和させ、1つの命を生み出します。国内外のアートフェアやギャラリーでの作品展示、ディズニー公式コラボレーション作品の発表など、近年ますます注目度が高まっている作家の1人です。

 

木の塊から姿を彫り出す小泉は、より抽象性を探るべく新たな旅に出かけました。私たちの周りに存在し、時には安心感、時には恐怖感を与える「気配」を具現化する為、彼は絵画制作を始めました。これは曖昧なもの、見えないもの、不確かなもの、どんなものでも享受する表現的自由さと、一方で二次元の四角形という大きな制約を併せ待つ絵画世界への冒険です。淡く儚いパステル調の背景に描かれた、彼の彫刻作品に良く見られるシロクマと少年を組み合わせた姿は、現れてはすぐに消えてしまう幻を連想させます。

 

“spectral” は光の波などを成分ごとに分解、可視化する「スペクトル」に由来しています。今展にて小泉は素材やモチーフ、作品に内在するメッセージに至るまで、美術の「分光」に挑戦し、そこから表出する多様な社会を独自の視点で新たに提示しました。また「お化けのような」という全く別の意味も含んだこの展覧会名は、単一のものにも多義的な解釈を与える彼の現代作家性を象徴しています。活動の領域を広げ続ける、小泉悟初の絵画展をお楽しみ下さい。