Self-Anatomy
線描の人物画に新たに彩色を施すことで、空間と対象の関係を捉え直した解剖学的な平面作品を中心に、ブロンズ像や立体の小品など多様な展示を通して、彫刻家・板東優の軌跡をたどります。
この度メグミオギタギャラリーでは、板東優個展 “Self-Anatomy” を開催します。板東は1952年北海道に生まれ、東京造形大学に在籍後イタリアへ渡航、1974年から2年間ローマアカデミア エミリオ・グレコ教室に在学し、現地の彫刻家に師事しました。以後半世紀に渡って、ローマ、ニューヨーク、北海道音更町(おとふけちょう)を拠点に芸術家として活動し続け、美術館や公共施設にも数多くの作品が展示されています。
板東の作品は平面と立体、抽象と具象を自在に行き来しつつも、一貫して対象に内在する生命力の具現化を試みています。踊る人物像に見られるように、1つの対象においても膨大な量のドローイングを行い、繰り返した線を自身に蓄積することで本質を捉え、それが塊となって彫刻や絵画に表出されます。作品の根底には社会的な出来事や自身の関心事がありますが、普遍的な表現に落とし込むことで、鑑賞者と概念を共有することができます。また板東は、「自分に都合の良い表現、色彩を持たない」ようあえて経験に頼らず、数十年間毎朝外に出て、夜明けと共に自然がその輪郭を露にしていく様子を描き留めるなど、刻々と変化する眼前の世界を制作の手本としてきました。板東は音更町の風景に関して、「あの枝はどうなっているのかなど、様々な疑問が出てきます。次の展開を観察するために描いています。自分の視点が川沿いまで行き、奥行きが見えたら筆を置きます。地平線を見ていても、季節や日によって全く印象が違います。その日その日の自分を測るために描いています。」と語っています。
本展では、板東の過去作品である線描の人物画に新たに彩色を施すことで、空間と対象の関係を捉え直した解剖学的な平面作品を中心に、ブロンズ像や立体の小品など多様な展示を予定しています。会場では、断片の集積から万物の真理に迫る彫刻家の軌跡をたどると共に、創造の現場に立ち会うような高揚感も体験いただけることでしょう。
Dates
2024年11月26日(火)-12月14日(土)
12:00-18:00
日曜・月曜 休廊
オープニングレセプション
11月26日(火) 17:00-19:00
*作家が在廊予定
Self-Anatomy
2020-2024
39.5 x 27 cm
Watercolor, sumi ink, white sumi ink, pigment on paper
Self-Anatomy
2000
112 x 76 cm
Graphite, sumi ink on paper